私共のクリニックは透析患者さんの診療が中心です。私は人工透析と腎臓病を専門とする内科医師でありますが、総合内科専門医としても幅広い患者さんの御相談相手をさせていただいています。透析患者さんは、合併症が多く、高血圧、糖尿病、肝臓病、閉塞性動脈硬化症などの管理に尽力しています。更には、悪性腫瘍の早期発見や心臓病、脳血管障害の鑑別や重症度判定を行い、その後高次機能病院との連携を速やかに行っています。

　一方、一般外来も手掛けておりますが、慢性腎臓病、糖尿病、甲状腺疾患などを中心に丁寧な診療を心懸けています。
糖尿病管理に関しては、Ⅰ型糖尿病や非常に不安定な患者さんに対し、適応があればインスリンポンプを使用し血糖管理を行うことも可能です。慢性腎臓病の方が、病状が進行し、透析療法が必要になる際は、状況によっては外来導入も行うこともあります。

　最近、スティーブ・ジョブズ氏に興味を抱き、彼に関する著作を数冊読了しました。彼は2011年に56年間の生涯を閉じましたが、2009年にこの10年間で最も偉大なCEOとフォーチュン誌に紹介されています。簡単に略歴を紹介します。彼はアップル社を創業しますが、その後一度は同社から放逐されます。しかし、ピクサー社で成功を収めた彼は、業績が急落したアップル社に凱旋し、アップル社に繁栄をもたらします。
彼は、製品に対し、並々ならぬ創意工夫し妥協を赦しません。エンジニアにその製品は“COOL”かと問いかけます。ここでの“COOL”とは「かっこがいい」とか「すぐれた製品である」などを包括した言葉かと思います。
“COOL”なものを追求するのに彼は「偉大な大工は、見えなくてもキャビネットの後ろにちゃちな木材を使ったりしない。」と社員に説諭します。
彼はかなり破天荒な人間であったようですが、私は、製品への姿勢とこの言葉に非常に感銘を受け触発されました。実地診療としては、患者さんに“COOL”な技術で直截的に働きかけるのは当然ですが、患者さんの気がつかない部分でも患者さんを“暖かく”支える医療を心がけ、隠れたところからも患者さんに安心感を提供するような意匠を凝らす医療人を目指します。

医療法人 いぶきクリニック分院院長　田端 作好