お勉強
透析中に行う運動療法のすすめ
透析患者さんは、健常者と比較して体力や筋力の低下を来しやすいことが知られています。そのため、透析患者さんもなるべく運動をして健康状態を維持することが重要です。しかし、透析患者さんにとって定期的な運動を継続することは容易ではありません。透析や通院に要する時間や、透析後の疲労で運動をできる時間が限られてしまうためです。そこでお勧めなのが透析中に運動をすることです。透析中に運動を行ってしまえば時間の節約になりますし、なによりも透析のついでにできてしまうために継続しやすいという利点があります。
当院では、透析中の運動として下肢エルゴメーターを推奨しています。透析開始後、患者さんにもよりますが、30分から1時間程度、アシスト付き(モーターで足を動かしますので力はあまり要りません)で行います。当院では、患者さんの体力や状態に合わせて主に3種類のタイプの器械を用意しております。
①ポータブルマルチバイク ペダルの重さ(負荷量)を調節することにより、適切な運動強度の設定ができます。そのため、体力アップに有効です。元気な方に適した機器です。
②エスカルゴ アシスト機能付きですので筋力や体力がない方でも比較的長時間の運動が可能です。専用安定ボードにより機体の安定性を高め、滑り止め効果を発揮するため、ベッドの上でも快適にペダリング運動をしていただけます。
③ルームマーチ アシスト機能により、体力が落ちてしまった状態でも無理なく運動ができます。シンプルな操作性で、機械に不慣れ方でも使いやすい設計となっております。
透析中にできる運動は上記の他にも、ゴムチューブや重錘バンドを用いた筋力トレーニングもあります。それぞれの患者さんに合った運動のメニューや負荷量で長期間継続することが重要です。
いぶきクリニック 矢嶋息吹